特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
内分泌学的検査
下垂体
ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)
庄司 優
1
,
須田 俊宏
2
1弘前大学医学部臨床検査医学
2弘前大学医学部第3内科
pp.320-321
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101814
- 有料閲覧
- 文献概要
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH)はアミノ酸39個からなるポリペプチドホルモンで,下垂体前葉ACTH細胞で合成され分泌される.分泌されたACTHは副腎皮質のACTH受容体に結合し,コルチゾールの合成・分泌を促進する.血漿ACTH濃度は,ACTHの半減期が約10分と短いため,下垂体前葉からの分泌を反映する.ACTHの分泌調節の3大因子はストレス,日内リズム,ネガティブフィードバックである.視床下部で産生されるCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)により刺激され,コルチゾールにより抑制される.日内変動では早朝起床時に高く,就寝時に低い(乳幼児期には日内変動は不明確).
検体採取と取り扱い上の注意
早朝安静空腹時にストレスを避けて血漿分離用(ヘパリン,EDTAなど)の採血を行い,直ちに氷冷する.室温では不安定で分解酵素などの影響を受けやすい.冷却遠心により分離した血漿を測定まで凍結(-20℃以下)保存する.検体量としては血漿として0.5ml以上必要で,-20℃で凍結することによりほぼ安定した保存が可能である.ただし,溶解と凍結の繰り返しは避けること.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.