特集 循環器薬up to date 2015
循環器領域における主要薬剤の使い分け
ループ利尿薬とバゾプレッシン受容体拮抗薬
岩永 善高
1
1近畿大学医学部循環器内科
pp.138-143
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223039
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ポイント
●神経体液性因子の過剰な活性化と体液量の過剰は,心不全における重要な病態生理であり,その是正は重要な治療ターゲットである.
●近年,臨床使用可能になったバゾプレッシン(V2)受容体拮抗薬は,心不全における体液量過剰の是正に主として用いられてきたループ利尿薬(Na利尿薬)とは全く機序が異なり,Na排泄に影響せず水利尿薬と呼ばれる.
●ループ利尿薬では,低Na,K血症などの電解質異常,腎機能低下,利尿薬抵抗性などの問題が生じうるが,バゾプレッシン受容体拮抗薬ではそれらが生じにくいという利点をもつ.
●ともに短期的に体液量の過剰に伴う病態・症状の是正を行うが,長期的な生命予後に及ぼす影響に関しては不明である.
●ループ利尿薬とバゾプレッシン受容体拮抗薬の上手な併用が今後の心不全治療のカギの一つと考えられる.
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