特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
酵素および関連物質
トロポニンT,ミオグロビン,ミオシン軽鎖,心筋型脂肪酸結合蛋白
福島 正人
1
,
小川 晃生
1
,
清野 精彦
1
1日本医科大学第1内科
pp.182-184
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101768
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
心筋細胞傷害を診断するための血液生化学的マーカーは,細胞質可溶性分画に存在するCK,CK-MB,ミオグロビン,心臓型脂肪酸結合蛋白(heart-type fatty acid-binding protein:H-FABP)と,筋原線維を構成するトロポニンT・I ,ミオシン軽鎖などが活用されている.
虚血性心筋細胞傷害では,まず心筋細胞膜が傷害され,細胞質可溶性分画のマーカーが循環血液中に遊出する.虚血が軽度で短時間のうちに解除されれば,マーカーの上昇は軽微かつ短時間であり,心筋細胞傷害は可逆的である可能性が考えられる.非ST上昇型急性冠症候群では,microemboliにより微小梗塞を生じ,このような場合,トロポニンの検出により高リスク群を同定することができる.さらにST上昇型梗塞の場合のように,虚血が高度(赤色血栓による完全閉塞)かつ長時間に及んだ場合には,心筋細胞蛋白分解酵素の活性化により筋原線維が分解され,トロポニン,ミオシン軽鎖などの収縮蛋白が循環血液中に遊出してくる.
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