増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
酵素,肝機能検査
心筋マーカー—心筋型脂肪酸結合蛋白,ミオグロビン,トロポニンT,トロポニンⅠ,ミオシン軽鎖
石井 潤一
1
1藤田保健衛生大学医学部臨床検査科
pp.216-218
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223259
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検査の概要
心筋傷害(壊死)という病態を反映する心筋マーカーには,心筋型脂肪酸結合蛋白,ミオグロビン,心筋トロポニン(ⅠおよびT)やミオシン軽鎖などがある.心筋マーカーは,急性心筋梗塞の早期診断,梗塞サイズの評価や予後の推定などに用いられる.特に,トロポニンは,急性冠症候群疑い患者における急性心筋梗塞の早期診断とリスク層別化に不可欠な検査項目である.
2009年7月に,トロポニンの最小検出感度を従来(標準)測定より10倍以上改善した高感度測定が登場した.高感度測定はトロポニン値の低濃度域を正確に測定できるため,急性心筋梗塞の基準値(健常者の99パーセントタイル値)を引き下げ,急性心筋梗塞発症早期の診断感度を大幅に改善した.一方,急性冠症候群以外の病態に起因する心筋傷害をも鋭敏に検出するため,診断特異度は著しく低下した.したがって,高感度測定値を解釈する際には従来測定値以上に,トロポニン値の上昇(異常)は心筋傷害の存在を意味するが,必ずしも急性心筋梗塞ではないことを銘記しておく必要がある.
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