特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅱ.特殊な病態の術前患者管理
4.肝・胆道系
門脈圧亢進症
本原 敏司
1
,
奥芝 俊一
1
,
高橋 利幸
1
,
道家 充
1
,
奥芝 知郎
1
,
金谷 聡一郎
1
,
加藤 紘之
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.352-354
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902514
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はじめに
門脈圧亢進症では80%以上の症例が肝硬変症を基礎疾患とする.そのため術前の肝機能障害の重症度および肝予備能の把握は,手術適応の決定や術中・術後管理に際して重要なポイントとなる.肝予備能評価としてはChildの肝障害度分類がよく用いられるが,プロトロンビン時間を加えたPugh分類のscoreも有用である.またICG停滞率(R15)や血漿消失率(KICG)も広く用いられている.術前内視鏡検査では,Red Color(RC)Sign陽性の食道胃静脈瘤は破裂の危険性が高いRisky Varicesと認識して緊急的処置も考慮しておく必要がある.一方,静脈瘤の背景にある門脈血行動態の正確な把握のためには,選択的上腸間膜動脈造影などの門脈相所見の検討が必須である.さらに静脈瘤内の血流方向と流速とを非侵襲的かつ迅速に判定し得る手段として,経内視鏡的マイクロバスキュラー・ドップラー血流計(EMDS)による血行動態の評価も有用である1).
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