輸血のきほん(5)
血小板濃厚液
石田 明
1
,
半田 誠
1
1慶應義塾大学医学部輸血・細胞療法部
pp.719-723
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100781
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血小板製剤の使用量は過去10年間で増加傾向にあり,その対象は血小板減少や機能異常を有する血液疾患患者,造血器腫瘍や固形腫瘍患者の強力化学療法後や造血幹細胞移植後,手術や外傷による大量出血時など,多岐にわたっている.このように,血小板輸血はわが国で広く普及し,その効果は臨床医にも十分認識されたといえる.しかし,製剤の適応や投与方法,投与効果の評価方法,副作用などの実践的な面については,必ずしも正しく理解されてるとはいえず,この不適切な使用や誤った投与方法は,輸血製剤の浪費や輸血合併症を招く危険を持ち合わせている.以上の点を踏まえ,本稿では,血小板濃厚液に関する臨床医に必要な実践的知識を概説していく.
血小板製剤の性状とその特徴1)
わが国の医療機関で使用される血小板濃厚液(血小板製剤)は,日本赤十字社由来の濃厚血小板と濃厚血小板HLA(HLA適合血小板)の2種類であり,いずれも1単位当たり2×1010個以上の血小板を血漿中に含んでいる(図1).濃厚血小板は単位数によって6種類の製剤があり,1,2単位製剤はそれぞれ全血200ml,400ml由来,5,10,15,20単位製剤はアフェレーシス由来の成分製剤である.わが国ではその99.6%が成分製剤である.製剤の単価は1単位当たり7,546円であり,成人患者に最も使用されている10単位製剤(2×1011個以上の血小板を含む)の薬価は約75,460円である.HLA適合血小板の適応は,抗ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)抗体陽性で,輸血合併症の既往がある患者に限られている.
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