病理との付き合い方 病理医からのメッセージ(7)
新医師臨床研修制度のなかでの役割―特にCPCレポートとの関連
鬼島 宏
1
,
加藤 博之
2
1弘前大学医学部病理学第二講座
2弘前大学医学部附属病院総合診療部
pp.1850-1854
発行日 2005年10月10日
Published Date 2005/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100328
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2004(平成16)年4月より,いわゆる新医師臨床研修制度がスタートし,診療に従事しようとする医師は,2年以上の臨床研修を受けなければならなくなった(医師法第16条の2).日本の医師臨床研修制度を振り返ると,1946(昭和21)年に,実地修練制度(いわゆるインターン制度)が創設され,医学部卒業後に医師国家試験受験資格を得るためには,「卒業後1年以上の診療及び公衆に関する実地修練」を行うこととされた(義務化).しかし1968(昭和43)年には,実地修練制度が廃止され,(旧来の)臨床研修制度が創設されるに至った.この旧制度は,医学部卒業直後に医師国家試験を受験し,医師免許取得後も2年以上の臨床研修を行うように努めるとされた(努力目標).
以上の変遷を経て,2004年より新制度がスタートした背景には,旧臨床研修制度の下では,①多くの研修医(約70%)が大学病院に偏在し,出身大学(医局)関連の限られた診療科による研修を受けており,②幅広い診療能力が身に付けられる総合診療方式(スーパーローテイト)による研修を受けていた研修医は少なかった,という点が挙げられる.加えて,地域医療との接点が少なく,専門の診療科に偏った研修が行われ,「病気を診るが,人は診ない」と評されることもあった.多くの研修医の処遇が不十分で,研修に専念できない状況や,出身大学やその関連病院での研修が中心のため,研修内容や研修成果の評価が十分に行われてこなかったといった点も指摘されていた.
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