連載 シリーズ 介護保険下の公衆衛生活動を考える・1【新連載】
介護保険制度施行後の保健医療行政の役割
関 なおみ
1
1東京都豊島区中央保健福祉センター
pp.288-289
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902715
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東京都豊島区において,要綱により「保健福祉センター(以下,センター)」が設置されたのは,平成8年にさかのぼる.当時区内に民間の訪問看護ステーションや訪問リハビリテーションがなかったことから,これを補う形で区が非常勤看護師の委託派遣を行い,また,福祉事務所においては措置制度に基づいてヘルパー派遣を行っていた.これらを集約することで,高齢者の在宅サービス提供における保健と福祉の統合を目指したのである.
センターの設置にあたり,以前より高齢者にかかわっていた現場職員から,在宅サービスにおける医学的立場からの客観的指導助言,課題の調査研究と普遍化,高齢者福祉施策への医学的視点の導入と提言の必要性が提案された.このような声によって,福祉対人サービス現場における係長級の医師の配属が全国で初めて実現した.福祉分野に医療職を配属することは,0次予防こそが保健行政の役割と考えるものにとって大きな挑戦であった.そして褥創に関連する課題,在宅と施設にまたがる疥癬対策,高齢者虐待の発見と介入方法,住宅改修後の活用状況調査,痴呆性高齢者の財産管理・権利擁護問題などが抽出され,各分野の研究者と連携して調査研究し,また現場職員のスキルアップのため研修会を開催するなど先進的な取り組みを行ってきたのである.
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