特集 重症心身障害
重症心身障害に対する行政の役割と制度の変遷
北野 博一
1
1愛知県心身障害者コロニー中央病院
pp.686-689
発行日 1971年11月15日
Published Date 1971/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204375
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はじめに
必身障害児(者)に対する福祉行政は最近めざましい進展をみせておるが,特に重症心身障害対策は大きく浮き彫りにされて,永年この道で苦労してきた人たちにとっては全く感慨無量であるに違いない.しかし一般社会情勢も急角度の上昇ぶりで,それに比べれば,未だしの感が強く,不満も出てくる.
昭和38年2月発行の厚生白書では,「いわゆる『重症心身障害児』の問題がある.これは障害がきわめて重度であり,また2種以上の障害が重複しており,現行の児童福祉施設への収容は実際上不可能である.現在は民間団体において収容療育の方法を研究中であるが,能力開発がとうてい期待しえないこれらの児童に対しては手厚い保護をよりいっそう強化すべきであろう」と行政のおくれを自認しているが,45年12月発行の同書45年版では,「昭和38年から予算措置により重症心身障害児施設に収容して療育が行なわれてきたが,昭和42年8月の児童福祉法の一部改正により,重症心身障害児施設は児童福祉施設として制度化され,社会のニードとあいまって施設の整備は急速にすすめられ……」と書き改められ,計67か所,5,503床の施設整備と在宅障害児対策としての特別児童扶養手当の支給,家庭奉仕員の派遣,特殊寝台の貸与などとともに,心身障害者対策基本法(45.5.21公布)のことにも言及している.
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