連載 海外レポート ニューヨーク州保健省の日常・13
官学が一体となった公衆衛生大学院
ホスラー 晃子
1,2
Akiko S. Hosler
1,2
1ニューヨーク州保健省慢性病疫学課
2ニューヨーク州立大学公衆衛生大学院
pp.68-69
発行日 2001年1月15日
Published Date 2001/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902441
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これまで州政府に関係したことばかり書いてきたが,今回は筆者が疫学の助教授として兼任している,公衆衛生大学院のことにも少し触れてみたい.現在アメリカでは,公衆衛生大学院(School of Public Health)として認定され,その唯一の全国団体であるAssociation of Schools of Public Health(以下,ASPH)に加盟している大学が28ある(表).これらの大学を合計すると,全米で約15,000人の学生が公衆衛生を学び,毎年5,000人あまりの卒業生を出していることになる.またこの他にも,認定を目指してASPHに準会員として加盟している大学や,大学としては認定外ではあっても,公衆衛生関係の学位を授与している医科大学,一般大学の学部も存在するので,公衆衛生の学生総数は全米で20,000人近いとみられている.
ところで一口に公衆衛生大学院といっても,それぞれの大学の歴史や風土を反映して,その内容にはかなりのバラエティがあるといってよい.一般に,オールラウンドな公衆衛生修士号(MPH)が,公衆衛生の代表的な学位とされているが,疫学,生物統計学,環境衛生学,健康教育学,医療管理学などの修士,博士号,そして最近では行動学,社会学,エコロジーなどを組み合わせた学際的なプログラムも増えており,公衆衛生の学位といっても多様である.
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