グラフ
農村病院と保健婦活動—佐久総合病院にみる医療と公衆衛生の一体化
浅井 博
,
井出 今
pp.2-8
発行日 1967年6月10日
Published Date 1967/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203941
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東京から信越線の急行で,わずか4時間たらずのところ,"小諸なる古城のほとり…"の島崎藤村の詩で有名な,信州は小諸から約30キロほど入ったあたりに,もう"日本のチベット"をほうふつさせる山間へき地がある。正確にいえば,長野県南佐久郡八千穂村――22の部落により形成されている村だが,構成世帯のほとんどは農業所得に依存している貧しい農家ばかりだ。
中央に集中化する医療あるいは公衆衛生活動の弊により,アンバランスな実態を描く舞台が,ここにも控えている。村とはいえ,広い地域にまたがり点在する部落を人手もなく,機動力もなく,ひたすら自らの足に頼って,地味な保健活動がつづけられねばならないはずだが,ここに特記すべきことがある。公衆衛生活動と院内診療活動を一体化する試みを実践しつづけて20年,今や地域住民と密着した医療体系を確立しつつある,佐久総合病院と地域保健婦との固い連繋がそれだ。
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