連載 「健康日本21」と自治体・5
身体活動・運動
川久保 清
1
,
下光 輝一
2
,
荒尾 孝
3
1東京大学医学系研究科健康増進科学
2東京医科大学衛生学公衆衛生学
3明治生命体力医学研究所
pp.583-587
発行日 2000年8月15日
Published Date 2000/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902348
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健康日本21では,健康に関連した生活習慣の数値目標が示されているが,その中でも身体活動・運動が注目されるのは,その幅広い健康影響だけでなく,安価で積極的な楽しい行動であるからである.身体不活動と疾病の関連をロンドンのバスの運転手と車掌の比較から疫学的に最初に示した英国のMorrisは,「運動は公衆衛生にとって最良の買い物」と述べている1).
平成8年に厚生省が提唱した生活習慣病(公衆衛生審議会意見具申)の中では,生活習慣の一つとして運動という概念を使い,運動習慣に関連する疾患群として「インスリン非依存型糖尿病,肥満,高脂血症,高血圧,など」をあげている.しかし,運動より広い概念としての身体活動を生活習慣として捉える必要がある.身体活動は表1のように定義され2),運動(スポーツ)を含め,仕事,家事などの活動を含む概念である.健康日本21の身体活動・運動分科会では,あえて身体活動を運動の前に持ってくるようにし,前文では「生活習慣病の予防などの効果は,身体活動量(「身体活動の強さ」×「行った時間」の合計)の増加に従って上昇する.長期的には10分程度の歩行を1日に数回行う程度でも健康上の効果が期待できる.家事,庭仕事,通勤のための歩行などの日常生活活動,余暇に行う趣味・レジャー活動や運動・スポーツなど,すべての身体活動が健康に欠かせないものと考えられるようになっている」と述べている.
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