連載 公衆衛生へのメッセージ〜福祉の現場から
介護保険時代を迎え老人保健事業に期待すること
出口 安裕
1
1大阪府福祉部高齢者保健福祉室
pp.208-210
発行日 1999年3月15日
Published Date 1999/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902050
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前回(本誌62巻11号),保健・医療・福祉がひとつの変革点に直面していることについて示した.また,平成12年の介護保険制度の導入により,高齢者の介護を中心とする高齢者福祉と老人保健制度が大きく変わることについて述べたが,今回は特に,介護保険時代を迎えての老人保健法に基づく老人保健事業について,現時点における一考察を述べたい.
老人保健法に基づく老人保健事業は,健やかな老後を営むという観点から,40歳以上の国民を対象にして,早期発見・治療に加え予防的視点から表1にまとめたようないわゆるヘルス事業を市町村実施主体として昭和58年以降行っているものである.ヘルス事業のうちがん検診(胃・子宮・大腸・肺・乳房)とがんに関する健康教育などの保健事業は,国民の健康保持の観点からは引き続き重要であるものの,既に市町村事業として定着したなどの理由から,平成10年度より,老人保健法の規定(および老人保健事業の目標を示した保健事業第3次計画の目標「平成11年度末達成目標」)から除外され,財源についても一般財源化(地方交付税措置)されることとなった.
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