特集 現代の危機管理
O157感染症集団発生の経験から
押田 訓英
1
1堺市環境保健局衛生部
pp.907-910
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901803
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平成8年7月13日(土)午前10時ごろ,市立堺病院から「前日12日の夜間診療で,下痢,血便をともなう学童を10名診察した」旨,堺市環境保健局衛生部に届け出があり,同様の情報が同じころ,別の医療機関からも保健所に寄せられた.直ちに学童の集団食中毒を疑って,環境保健局長をはじめ幹部職員,保健所長,食品衛生監視員全員に非常呼集を行い調査を開始した.
調査が進むにつれて,当初患者が学童に集中し,調査開始2時間後に200名を超える患者発生を把握したため,同日午後3時に環境保健局長を本部長とする「堺市学童集団下痢症対策本部」を設置した.14日の午後3時には,本市衛生研究所において有症者検便26検体のうち13検体から腸管出血性大腸菌O157(以下,「大腸菌O157」という)を検出,今回の学童集団下痢症の原因菌と断定した.患者数はその後,時間を追って増加したため,16日に市長を対策本部長とし,全庁をあげて取り組む体制を確立した.
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