資料
散発的に発生し,行政判断に苦慮したO157事例について
長谷川 嘉春
1
,
鶴田 憲一
2
,
中沢 明紀
3
,
吉田 博
4
,
大澤 玲子
5
1神奈川県衛生部保健予防課
2神奈川県衛生部
3神奈川県衛生部保健予防課
4神奈川県衛生部生活衛生課
5小田原保健福祉事務所保健予防課
pp.398-402
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100878
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腸管出血性大腸菌O157(以下,O157)は,時に集団感染を起こし社会的に大問題となることがあるが,その感染源・感染経路はさまざまである.1例を挙げると,2001年には調味過程で原料肉の表面汚染が内部へ浸透したことが示唆された牛たたきによる食中毒が生じている1).
わが国では食中毒を「飲食物(食品添加物を含む)そのもの,および食品その他の器具容器包装を介して人体に入ったある種の病原微生物や有毒な化学物質などによって起こる,比較的急性の胃腸炎症状を主体とする生理的異常現象(まれに他の症状を主要徴候とすることもある)」と定義するのが一般的であるが,O157の場合には食中毒以外に,浦和市の幼稚園での井戸水を介した水系感染2),ヒトからヒトへの二次感染,保菌動物との接触による感染も知られている.腸炎ビブリオなど発病にある程度の菌量を必要とする疾患では,多くの場合,感染源は菌が増殖した食品であり,感染経路は経口感染である.
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