増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見
1章 腹部エコー
腸管出血性大腸菌感染症(O157腸炎)
林 健太郎
1
1藤枝市立総合病院超音波科
pp.404-407
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202329
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疾患の概要
大腸菌は家畜や人の腸内に常在し,そのほとんどは害がない.しかし,なかには下痢などの症状を引き起こす“病原性大腸菌”があり,細菌学的には菌の表面にある抗原(O抗原とH抗原)に基づいて細かく分類される.そのうち,ベロ毒素(Vero toxin:VT)を産生する大腸菌を“腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)”と呼ぶ.代表的なものは,O157(60〜70%),O26(20%),O111(10%)などであるが1),重症化するものの多くは,大半が病原性の高いVT2を産生するO157である.本稿では,O157腸炎を中心に解説する.
O157腸炎は夏季に多いが冬季にもみられ,集団発生事例の報告は減ったものの,散発事例における患者数は漸増状態で,わが国でも毎年4,000人前後の発生が続いている1,2).
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