連載 地域精神保健の展開—精神保健センターの活動から・16
精神保健総合センターとしての社会復帰支援活動
野中 猛
1
1埼玉県立精神保健総合センター
pp.496-501
発行日 1995年7月15日
Published Date 1995/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901309
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はじめに
精神疾患および精神障害を持つ人々を支える一連の活動の中でも,いまやリハビリテーション(社会復帰・社会参加)活動に注目が集まっている.国連障害者10年の動きを受け,わが国でも「障害者の雇用の促進等に関する法律」,「障害者基本法」,「地域保健法」そして「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」という一連の改正を迎え,精神障害者にリハビリテーションを実際的に提供することが可能な時代になろうとしている.
これらに先立って,一部の精神保健センターは社会復帰施設機能をあわせもつことで総合の名称を加え,一部の自治体は独立した社会復帰センターを設けた.1993年度の現状で46センターのうち,診療報酬に基づくデイケアが8カ所,無料のデイケアが33カ所で実施されている10).小柴ら2)の調査によると,病院型デイケアと比較して,独立施設型や精神保健センター型のデイケアは,個人受け持ち制,外部講師,家族教育,就労援助などの機能を持つものが多い点で異なっている.
ここでは,埼玉県立精神保健総合センターを例に,精神保健センターが行う社会復帰支援活動に求められる機能と,それに応じた工夫について検討する.形に現れにくいが,しかし本質的な機能を強調したい.なお,菱山1)が1990年に同様の主旨で考察しており,同年に総合化された当センター5年間の実践がその期待に応えているのか,あらためて見直す機会ともしたい.
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