研究と報告【投稿】
総合病院精神科の体験—社会復帰について
間島 弘
1
1徳島県立中央病院精神科
pp.79-80
発行日 1967年3月1日
Published Date 1967/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203052
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最近,総合病院における精神科の必要性は高められ,外来診療を設置したり,ベッドを併設するところが多くなった。これは精神医療が,従来の保護観察を第一とした時代から,本来の治療に脱皮していることを示す。WHOでは総合病院精神科の占める割合は10%までとし,日本においても同様に考えられている。総合病院の精神科では短期療養を要するものを主とし,長期療養者は後方病院で取り扱うことが望ましいといわれている。総合病院では他科との連絡が密接で,合併症の取り扱いが便利で,患者にとっても入院しやすいなどの利点がある。反面,作業,レク療法など本来の精神科看護指導上,必要な設備や用地などが確保されにくいという問題がある。
徳島県立中央病院精神科は,外来患者が1日平均29人で病院全体の7%を占め,精神分裂病,神経症が各32%,てんかん18%である。入院は1日平均122名で,病院全体の23%をしめ,精神分裂病82%,神経症7%である。10年前の発足当時は50床であったが,現在146床となり,病院全体の27%をしめている。他科と同一病棟構造のもとに,短期,長期療養者が同一病棟内にいるわけで,全体の70%を開放管理している。患者の60%は3年以上の入院歴をもち,作業,レク療法が限られた用地で行なわれ,専門の運動場,作業場などもなく,精神科病棟独自の活動は十分なことが行なえない状態でいる。
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