特集 行動医学へのアプローチ
諸疾患へのアプローチ—大腸がん
古野 純典
1
1防衛医科大学校公衆衛生学
pp.243-245
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901009
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◆はじめに
わが国の大腸がん罹患率は欧米の高率国における罹患率の約3分の1と低率ではあるが,図に示すように,大腸がん,特に結腸がんは,わが国にあって近年著しく増加しているがんである1).最近の大腸がんによる死亡は,わが国のがん死亡の10%近くを占あ,平成4年度からは老人保健法によるがん検診の対象にもなっている.
米国日系人の大腸がん罹患率が米国白人と同程度に高くなっていることや,図に示すわが国における増加傾向などから,欧米人に特有な食事要因,特に高脂肪・低繊維の食事が大腸がんの発生に重要な役割を果たしていると考えられている.しかし,近年の世界各地の疫学研究により,運動などの食事以外の要因の重要性も指摘され始めている.運動は多くの疾病と関連する重要な行動医学的要因であるが,本稿では大腸がん発生との関連性についての疫学研究の概要に触れ,大腸がんの前がん病変と考えられている線腫性大腸ポリープについての私どもの研究を簡単に紹介させていただきたい.
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