特集 行動医学へのアプローチ
諸疾患へのアプローチ—摂食障害
村永 鉄郎
1
,
野添 新一
1
1鹿児島大学医学部第一内科学教室
pp.250-253
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901011
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◆はじめに
摂食障害には,神経性食欲不振症(Anorexia Nervosa)と神経性過食症(Bulimia Nervosa)の2つがあるが,思春期から青年期の女子に好発する心身症の代表的な疾患で,近年増加しつつあると考えられる1).これらの疾患は慢性的な経過をとりやすく,特に神経性食欲不振症では6〜10%に死亡例があり,約10%で正常な生理学的発達や健康が損なわれている例がある.
厚生省特定疾患研究班の神経性食欲不振症の診断基準を表1に,米国精神医学会による神経性過食症の診断基準(DSM-Ⅲ-R)を表2に示す.拒食と過食は相反する異なった病態を示すように見えるが,もし心理社会的背景が見過ごされ的確な治療がなされなければ,いずれの症状も持続遷延化するなかで次第に社会的活動の狭小化がみられ,身体的にも精神的にも悪循環が形成されることになる.
治療には様々なアプローチがなされているが,われわれは行動論の立場からこれらの疾患の病態をとらえ,治療を行っている.ここでは,それぞれの疾患について,行動論の立場から病態を述べ,治療の概要を述べたい.
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