特集 行動医学へのアプローチ
諸疾患へのアプローチ—歯科・口腔外科疾患
内田 安信
1
1東京医科大学口腔外科学
pp.246-249
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901010
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◆はじめに
行動医学とは,「身体的健康ならびに疾患の理解に必要な行動科学の知識と技法を開発し,これを予防,診断,治療さらにリハビリテーションに応用することを目標とする研究領域の医学」と定義されている.1977年Yale行動医学会議で行動科学の医学への貢献が強調され,アメリカにおいては1970年代後半に至り,急激に行動医学が,保健体制を行動理論的立場からアプローチする必要性から発展し,今日に至っている.わが国においては,1972年内山1)が『行動療法』という大著をすでに刊行し,日本心身医学会を中心として医・歯学領域で,これら学習理論に則った治療技法が導入され,1980年で相当程度臨床に応用され浸透しつつあるのが現状である.わが歯科・口腔外科領域においても,従来からの身体医学的手法のみでは,なかなかに治療し得ない疾病や病態群が増加し,心身医学的技法を駆使した治療法が,1970年当初より用いられている.
筆者は1982年,第8回日本行動療法学会総会において,会長講演として「口腔心身症と行動療法」と題し,歯科・口腔外科領域こそは行動療法についての未開拓の分野で,その適応病態は無限の広がりを有している旨の発表を行った2).
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