特集 看護のなかの性
臨床における性の諸問題—そのとらえ方とアプローチ
河野 友信
1
1東京都立駒込病院内科心身医療科
pp.267-274
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919805
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
性(sexuality)は人間にとって根源的なテーマです.人間を理解したり人間を扱おうとするとき,性の問題は不可避です.医療にあってもしかりです.近年,医療の質を問う過程で,病人中心(patientcentered)の医療が強調されています.ここでは,人間への深い理解と人生への洞察が要請されます,人間中心の臨床看護では,疾病への理解もさることながら,人間愛に根ざした病者理解が重要です.患者を病を担って生きている“人間”として把握し理解するとき,性は避けて通れない問題です.
筆者は過去に臨床における多様な性の問題を,“性の臨床”と題して概説し,本誌44巻2号(1980年2月号)より18回にわたって連載したことがあります.総合的看護(comprehensive nursing care)における性問題の重要性に鑑(かんが)み,ここにあらためて看護臨床の中の性に焦点を当てて,いくつかの問題を指摘することで“性の臨床”の重要性と必要性を強調したいと思います.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.