特集 地域歯科保健
地域歯科保健の展望
佐治 靖介
1
Yasusuke SAJI
1
1厚生省健康政策局歯科衛生課
pp.565-569
発行日 1993年8月15日
Published Date 1993/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900863
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◆はじめに
地域住民を対象とした地域保健対策は,従前から一貫して保健所等衛生行政機関が中心となって実施する保健事業として進められてきた.地域における歯科保健事業は,乳幼児および学童に重点をおいた健診事業等が保健所,学校などで実施されてきた.
近年,人口の高齢化が急速に進むとともに国民の健康の概念も変化して,日常生活の中に生じる慢性的な疾病,いわゆる成人病に対する健康感と生活習慣との関係に関心が注がれ,国民自らが健康づくりに努力することが提唱されてきた.国民健康づくり運動は国民の生活に密着した身近な課題として,その居住する地域を基盤とした保健活動の主要な事業と位置づけられている.このように慢性的な疾病の対策を住民の日常生活の中の健康問題としてとらえるならば,地域保健活動は疾病の予防,保健だけではなく,福祉の活動も関連させる必要が生じてくる.このような保健,医療,福祉の連携強化が公的サービスだけではなく,地域の医療関係団体,福祉関係団体,住民団体などの民間によるサービスも組入れられることで包括的な地域保健活動が形づくられていく.
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