特集 環境保全の地域政策
環境保全のためのバイオ技術の応用
渡部 良朋
1
,
斉木 博
1
Yoshitomo WATANABE
1
,
Hiroshi SAIKI
1
1(財)電力中央研究所我孫子研究所生物部バイオ技術研究室
pp.244-248
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900780
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◆はじめに
人間活動が環境へ負荷を与える主因は,産業の生産活動と消費者による生産物の消費活動であるといえよう.言い方を変えれば経済活動である.現代の人間活動は,ともすれば経済的な側面に強い関心が集まりがちであり,経済活動の影響を受け変化していく自然環境に対して払われる関心は小さい傾向にある.環境が人間に与える有形無形のメリットを環境資源という言葉で表せば,環境資源への配慮は経済発展の影に隠れがちになるといえる.この経済的なインセンティブの小さい環境保全という課題に取り組むためには,経済性に優れた環境保全技術の開発,ならびに地域にマッチした実現方策を探ることが重要である.
バイオ技術の多面的な応用は,環境保全に関する分野でも期待されている.その理由は,バイオ技術が応用されることで経済的に(コスト的に)適用しうる革新的な環境保全技術の開発が促進される可能性があるからである.また,環境保全技術は多岐にわたるため,環境保全施策をより実りあるものにするには,環境保全技術とそれを適用する主体(地域,産業)との関係を明確にすることも重要である.バイオ技術が応用される環境保全技術と,その技術の適用を図るべき主体との関係を図1に示した.
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