特集 地域環境保全と健康
温泉医学と環境保全
植田 理彦
1,2
Michihiko UEDA
1,2
1日本温泉療法医会
2東京八重洲総合健診センター
pp.523-525
発行日 1988年8月15日
Published Date 1988/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207746
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わが国は高齢化がすすむにしたがって,老年病,成人病,交通障害,代謝病が増加している.これらの疾病に対して近代医学をもってしても及ばない面も多い.これらの疾病の中には,温泉地療養によって機能回復,薬物治療の使用量の減量,自然治癒能力の増強など,食事療法,運動療法と同様に,近代医学の補助的治療法として役立つ場合が多い.
また,温泉地保養は,健康回復,疾病予防と健康づくりという目的をもった医学的分野でもある.わが国の温泉地の発展をみると,湯治場から観光へと進み,大型歓楽地へと変化してきた.昭和29年,第二次世界大戦後多くの温泉地が歓楽化した中で,厚生省は本来の温泉地利用の目的である療養・保養の場として,優れた温泉地を「国民保養温泉地」に指定し,主管が環境庁に移っても毎年引きつづき数カ所を指定し,施設の整備をしてきた.現在国民保養温泉地は75地区138カ所に及ぶが,当初予期した成果はまだ達せられていない.
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