現代の環境問題・24
室内汚染—室内空気の汚れ
入江 建久
1
Tatehisa IRIE
1
1国立公衆衛生院建築衛生学部
pp.279-282
発行日 1992年4月15日
Published Date 1992/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900560
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
わが国の国民生活時間調査によれば,住宅,オフィス,学校,駅舎,地下街などの建物内部だけでなく,自動車,電車などの乗り物も含め,いわゆる外界と切りはなされた広義の屋内空間で過ごす時間の合計が,平均的に全生活時間の85〜95パーセントに達するという.
一方,建物や諸施設の構造が気密化し,外界との隔絶度が高まって来,その内部の空気の性質も,外気とは自ずから異なったものになって来ている.
この両者が室内空間を独自の環境と考え,その汚染問題についても真剣に取り組まなければならない理由である.
20〜30年前までは,住宅はもとより一般のビルでも空気調和がほとんど行われておらず,ドアや窓や換気口(開口部という)の開閉による自然換気によっていたため,冬季の暖房時を除いて,室内空気を環境大気と別個に考える必要はなく,人間のための空気を考える上では,大気汚染の制御で十分であると考えられていた.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.