特集 水と空気
室内空気の汚染
新田 裕史
1
Hiroshi NITTA
1
1東京大学医学部保健学科疫学教室
pp.397-401
発行日 1987年6月15日
Published Date 1987/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207486
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■われわれはどのような空気を吸っているか
われわれが毎日絶え間なく吸い続けている空気の組成はどのようなものかと問われたら,その答えとして窒素が80%,酸素が20%というのは最も幼稚なものであろう,それに,アルゴンや二酸化炭素(CO2)が含まれていることぐらいは中学生でも知っているかもしれない.%のオーダーで考えた場合には,答えはすでに用意されている.
一方,大気汚染に多少とも関わりのある者は常に,ppmやppbの濃度レベルで空気の組成を見ている.このような濃度レベルで,先の問いに答えることはそうやさしくはない.さらに,「われわれはどのような空気を吸っているか」という問いと,「大気の組成はどのようなものか」という問いが同一のものであるか否かを考える時にそれは一層難しいものとなる.
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