特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第1部 職場の能率をあげるために
Ⅰ職場環境をどう整えるか
室内空気の条件—換気と冷暖房
小泉 明
1
1東京大学
pp.33-35
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912523
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換気とその必要性
せまい部屋の中に大ぜいの人がはいつていると「空気がわるくなる」という常識がある。有名なドイツの衛生学者ペッテンコーフェル(Petten—kofer)は,これは人体から未知の毒素が出されるからであり,それを直接測定することはできないが,炭酸ガスCO2の濃度によつて空気のよしあしの判定ができると説いている。ペッテンコーフェルは空気中のCO2濃度が0.1%以上になるのは望ましくないとしているが,現在でもその基準に変わりはない。このCO2自身が空気をわるくする有害物そのものであるとみなされた時代もあつたが,今日では「わるい空気」というのは温熱条件・臭気などの総合的な影響であると判断され,ペッテンコーフェルの述べたようにやはりCO2を示標とするという考え方が一般的である。
室内の空気がわるくなり,CO2濃度が高くなつたときには,換気によつて新鮮な外気を導き入れなければならない。いま室内のCO2濃度を示標として,室内の各人に必要な空気の量と,必要な換気量を求めると次のようになる。人体1人あたりの毎時所要空気量をV(m3)とすると,
V=C/P1-P2×1/10
の関係式によつて,C(毎時呼吸によつて呼出されるCO2量(l)……成人男子1人1時間20l),p1(CO2の許容濃度……0.1%),P2(外気のCO2濃度……0.04%)から
V=20/0.1-0.04×1/10≒33(m3)
と計算される。労働安全衛生規則には,30m3という量が記載されている。
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