特集 環境リスク
室内環境汚染と健康リスク
東 賢一
1
,
内山 巌雄
2
1近畿大学医学部環境医学・行動科学教室
2京都大学
pp.289-294
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101773
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はじめに
1990年代に入り,いわゆるシックハウス症候群等,化学物質による室内環境汚染が原因とされる居住者の健康問題が社会的に大きくなった.その主な背景は,省エネ対策による建物の高気密化と化学物質を放散する建材の使用量が増加したことにあると考えられている.そこで日本では,13種類の化学物質に対して室内濃度指針値が策定され,2種類の化学物質が建築基準法で使用規制されるなど,いくつかの対策が行われてきた.その結果,これらの化学物質濃度は減少し,室内環境汚染は大きく改善されてきた1).しかしながら,国内外での研究によって,近年新たな課題が指摘されてきた.本稿では,室内環境汚染による健康リスクについて,近年の研究成果や国際的な取り組みを紹介するとともに,今後の取り組むべき課題について言及する.
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