特集 食品衛生の新しい動向
食中毒の予防—集団給食施設での対策
大竹 俊秀
1
Toshihide OHTAKE
1
1福島県浪江保健所
pp.626-629
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900419
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■はじめに
集団給食施設とは,食品衛生法第29条第3項に規定される営業以外の準用施設であり,「営業以外の場合で寄宿舎,学校,病院等の施設において継続的に不特定又は多数の者に食品を供与する施設」と定義付けられている.
さて,近年の食中毒の発生状況を見ると,昭和55年から昭和59年までの全国食中毒事件録1)によれば,5年間での食中毒発生件数は5,174件で,患者数は実に168,407名に達している.
うち,集団給食施設が直接の原因となったものは保育所,福祉施設等を含めると400件を越え,患者数は46,000余名にもなっている.件数的には発生件数の10%にも満たないが,患者数は30%近くにもなっている.
集団給食施設における食中毒での患者数が多い原因としては,特に学校給食施設の患者数が5年間の平均で,1件当たり150人と多いことがあげられる.
そこで,本稿では昭和63年から平成2年まで筆者が行った調査結果等を基に,集団給食施設の中でも,食中毒1件当たりの患者数の最も多い学校給食施設を取り上げ,学校給食施設における加熱調理技法を中心に,食中毒の現状と今後の課題について考えてみたい.
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