特集 食品衛生の新しい動向
特定保健用食品について
今田 寛睦
1
Hiromutsu IMADA
1
1前厚生省生活衛生局食品保健課新開発食品保健対策室
pp.607-611
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900415
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■はじめに
わが国は戦後の急速な経済発展により,生活レベルの向上とともに保健衛生をめぐる環境も著しく改善され,その結果世界に誇る長寿国となったが,その一方でがんや高血圧,心臓病などの成人病の増加が新たな課題として浮かびあがってきた.寿命の伸長や疾病構造の変化は,単に医療技術の進歩のみならず,経済状態や生活環境,社会環境などとも深く関わっており,食生活もその重要な部分を担っている.そもそも食品には私たちが生きていくうえで必要な種々の成分が含まれており,これらを摂取することで生命を維持し,健康を保ち,成長を促し,体力を増強させ,疾病を予防し,またこれを回復させている.そこで食糧事情や食習慣,個人の嗜好の偏り等から必要な成分を取り損なったり,過剰に摂取したりすることにより,さまざまな健康上の問題が生ずることになる.
一方,科学技術の進歩により,これら食品に含まれる成分の分析が進み,それぞれの働きが明らかとなるにしたがって,どの成分をどの程度摂取すればいいか,そのためにはどのような食品をどの程度食べればいいかが明らかとなってきた.
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