厚生省から'84
診療報酬の合理化
今田 寛睦
1
Hiromutsu IMADA
1
1厚生省保険局医療課
pp.781
発行日 1984年9月1日
Published Date 1984/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208398
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診療報酬について
診療報酬とは,保険医が保険医療機関において,疾病または負傷に関し行われた療養(治療)に対して,保険者から支払われる報酬である.健康保険法においては,この報酬の額は,厚生大臣が中央社会保険医療協議会(以下中医協)に諮って決められており,国民健康保険や他の健康保険においてもこれに準じた取り扱いとなっている.したがって国民皆保険の現在にあっては,労働災害や交通事故などを除いて,おおむねこの報酬額に従って診療がなされていると言ってよい.
保険医や保険医療機関からみれば,それぞれ行った診療行為について定められた報酬が支払われることから(出来高払い制),医業収入の根幹をなすものであり,その額は,行われる診療行為にふさわしいものでなければならない.同じように受益者たる被保険者においても,良質な医療が提供されるためには,相応の報酬額である必要がある.一方これに要する費用は被保険者から拠出される保険料,事業所の負担金,あるいは税によって賄われていることから,診療報酬を経営基盤におく診療担当の立場と保険財政を維持,運営している保険者の立場とでは,診療報酬のあり方を巡って微妙な食い違いがあることも事実である.国民に適正な医療を供給するという目的意識は共通であっても,このような立場の差から診療報酬の改定をめぐって,幾度となく確執を生み,妥協や解決のための努力が積み重ねられて今日に至っている.
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