特集 食品衛生の新しい動向
食鳥肉の安全確保対策について
大島 徹
1
Tohru OHSHIMA
1
1栃木県宇都宮保健所
pp.612-616
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900416
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■はじめに
昭和30年代後半からわが国の畜産は,畜産振興施策の推進とともに急速に発展し,食肉の生産および消費が増大した.とりわけ,食鳥肉の消費量は昭和40年以降増大し,平成元年には約172万トンと昭和40年(約21万トン)の約8倍に達し,その消費比率は,豚肉の42%に次いで第2位の34%を占めるまでに至っている(表1).
厚生省では,増大する食鳥肉の安全性を確保するため,昭和53年に異常鶏の判定および処理加工の取り扱いに関する基準を盛り込んだ「食鳥処理加工指導要領」を関係機関に通知し,営業者の自主検査の強化を図った.
しかし,食鳥肉のますますの需要の増加,カンピロバクター等による食鳥肉が原因と思われる食中毒の発生の増加,輸入食鳥肉の増加等により,厚生省では,公的検査の制度化を検討するため食鳥検査制度検討委員会を設置し,昭和62年5月の同委員会の最終報告書を基に法案化し,平成2年6月「食鳥処理の規制及び食鳥検査に関する法律」(以下「食鳥検査法」)が制定された.食鳥検査に関するものを除く部分は本年4月からすでに施行されており,来年4月からは食鳥検査が実施されることになった.
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