特集 対がん総合戦略の発展
転換期を迎えたがんの基礎科学—細胞情報科学とがん制御
酒井 亮二
1
,
伊藤 俊弘
2
Ryoji SAKAI
1
,
Toshihiro ITOH
2
1琉球大学医学部基礎保健学講座
2北海道大学大学院環境科学研究科
pp.528-532
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900394
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■はじめに
今日はがん研究の転換期を迎えているのではないだろうかという一抹の感慨が次第にわいてきている.百年以上にわたって人類が思考してきたがんの発生機序に対する最終的回答が,過去10年間における「ヒトがん遺伝子存在の実証」をもって日増しに確実視されてきたことによる.転換期をどのように迎えていくべきかについては明確な見通しは未だ確立してはいない.この見通しを得るための方法は,ことの成り行きを総括することであり,本特集の意図がここにあることは誠に時機を得たものと考えられる.これを機会に筆者なりの1つの総括を加えたい.
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