特集 対がん総合戦略の発展
がんの一次予防
大島 明
1
Akira OSHIMA
1
1財団法人大阪がん予防検診センター
pp.533-537
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900395
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■がんの予防
がんの予防には,がんの原因や危険因子を除き防御因子を高めてがんの発生を予防する一次予防と,がんにかかってもこれを早期に発見し早期に治療してがんの死亡を予防する二次予防とがある.がんの一次予防には,食品衛生法や労働安全衛生法による発がん物質の使用禁止の措置のような法的規制によるもの,B型肝炎母子感染防止事業のようにワクチンの予防接種によるもの,そして,禁煙指導や喫煙防止教育などの健康教育によるものがある.
これまでわが国のがん予防対策は,二次予防の検診を主体とし,一次予防のための健康教育は軽視されてきた.わが国のがん対策が確立された1960年代には,胃がんと子宮がんががんの大半を占めており,これらのがんに対しては早期診断の技術がすでにほぼ確立していた.このため,「がんの原因は不明であり,がん予防の決め手は早期発見・早期治療である」との考えが公衆衛生の政策立案,決定に携わる人や保健医療の現場の人たちに定着することとなった.
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