保健行政スコープ
出生率低下をめぐって
藤崎 清道
1
1厚生省大臣官房政策課
pp.289-291
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900332
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●はじめに
平成2年6月,平成元年人口動態統計(概数)の概況が発表され,同年のわが国の合計特殊出生‘率が1.57となったことが明らかになった.これは,丙午(ヒノエウマ)の年の影響を受けた昭和41年の1.58を下回る史上最低の値であり,関係各方面に大きな反響を呼び起こした.合計特殊出生率(以下出生率と略)とは,女性がその一生の間に何人の子供を出産するかを当該年の年齢別出生率を基に算出したものであり,わが国においてはその値が2.1を長期的に下回ると人口は減少するとされている(人口置換水準).出生数の減少とそれに伴う長期的な人口減少は,後述するような様々な社会的影響を及ぼすと考えられるが,同時に子供を生む生まないは個々人の判断によるものであり,これらを勘案した慎重な議論が必要である.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.