特集 保健医療ソーシャルワーク
地域へのソーシャルワーク—重症心身障害児・者へのアプローチ
田村 惠一
1
Keiichi TAMURA
1
1心身障害児総合医療療育センター
pp.163-166
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900295
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■はじめに
1981年国際連合による国際障害者年10カ年行動計画も終盤を迎え,わが国においてもさまざまな情勢変化が見られてきている.とりわけ,重症心身障害児・者への療育サービスの内容については大きく変貌してきており,このことはすべての障害児・者は隔離,差別されることなく,教育・生活等あらゆる場面で一般の人々との統合された生活を送る権利を有するという,国際障害者年のメインテーマであるところの「完全参加と平等」の考え方が,ここ数年急速に浸透してきていることからもうかがうことができる.
以前は重い障害を持っている人々の生きていく基盤は,少なくとも地域という生まれ育った環境下ではなく,地域とは隔絶された所での生活を余儀なくされていた感がする.その頃の一般的な考え方であった心身障害児・者=施設入所という図式は,今日では都市部と地方部の差異はみられるものの相対的には地域療育の充実と相まって影を潜め,「障害児・者は施設に入れる,または入る」という考えかたをする親・家族・本人は大きく減少してきている.
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