特集 保健医療ソーシャルワーク
地域へのソーシャルワーク—在宅ケアへのアプローチ
磯部 雅子
1
Masako ISOBE
1
1河北総合病院医療相談室
pp.167-170
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900296
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■はじめに
暮れもおし迫った頃,74歳の老女が,当病院の外来の医師から紹介されて来室した.彼女の訴えは「胃(癌)の手術をしてから気が弱くなり,一人暮らしが不安になったので老人ホームに入所したいが,入所をとりはからってくれないか」ということであった.
詳しく経過を聞いてみると,老女は借金(4000万円)をして建てたアパートと株の収入で生活をしていた.身内は妹だけである.「病気になってから気が弱くなり,一人でいるのが辛く,よく眠れず,病院で睡眠薬をもらっている.今後については,すでに家を売りに出しているが,株価の暴落もあり,どのくらいのお金が残るかわからないので,有料老人ホームに入れないのではないか」と心配している.そのため,福祉事務所へ相談に行ったところ,「養護老人ホームへ入所するには,2年くらい待たなくてはならない」と,見通しが立たないことを言われた.そこで,途方にくれ,病院の医師に話したところ,ソーシャルワーカーを紹介されたのである.
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