特集 骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症の予防—運動の効果
楊 鴻生
1
Kousei YOH
1
1兵庫医科大学整形外科教室
pp.22-26
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900254
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◆はじめに
骨粗鬆症では,骨量の低下とその力学的強度の減少に伴い,骨に痛みや骨折を引き起こし,多くの高齢者に生活の制限と苦痛を与えている.高齢化社会の到来とともに,すでに400万人近くの人が,このような状態であるといわれており,今後もますます増加すると予測されている.そして骨粗鬆症は高齢者のquality of life(QOL)を低下させるだけでなく,総医療費に占める,本症の治療費の割合の飛躍的な増加をきたし,アメリカにおいては年間70億ドルを越え,大きな社会問題となっている.本邦においても近い将来,保健医療行政に大きな影響を及ぼすと思われる.それゆえに本症に対しては早急な治療法の開発とともに,予防法についても本格的に取り組む必要がある.
骨粗鬆症の病因については未だに不明な点も多く,完成した骨粗鬆症に対する治療法は試行錯誤の段階である.近年,疫学的な骨粗鬆症の研究が進み,本症を引き起こしたり,増悪させたりする危険因子(リスクファクター)が解明されるようになった.特に食事におけるカルシウム摂取や,日常生活における運動等が注目されるようになり,その予防効果や,治療への応用が報告されている.
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