特集 感染症法2類相当時代のCOVID-19対策レビュー—次のパンデミックに備えて
Editorial—今月号の特集について
田中 英夫
1,2
1寝屋川市 健康部
2寝屋川市 保健所
pp.543
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210309
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2023年5月に感染症法上の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の扱いが5類相当に変更されて約1年が経過しました。このような感染症の危機的事象(同じものはないにしても)にも対応できるよう、都道府県、保健所設置市および特別区は本年(2024年)3月に感染症予防計画を策定したところですが、平時における計画の趣旨を反映した着実な準備と危機事象発生時の的確な運用を可能にするためには、2類相当時代のさまざまな対策とその効果を事実ベースでレビューし、教訓を引き出しておくことが重要と思われます。
そこで本特集では次の8編を取り上げました。まず、2023年9月に設置された内閣感染症危機管理統括庁の役割を中心とした新たな国の感染症危機管理体制について、厚労省医務技監の迫井正深先生に概説いただきました。次に、ポピュレーションアプローチとしての行動制限(田中ら)、積極的疫学調査のデータ活用(緒方 剛先生)、検査・外来診療体制(倉本玲子先生)、入院・入院外療養・入院調整機能(成田智晴先生)、そして高齢者に対するワクチン優先接種事業(高橋佑紀先生)の5編は、主として保健所側から見た対策の重要課題を提示しました。続けて、対策の迅速な実行に必要となる専門性と国立感染症研究所実地疫学研究センターが実施するFETP(実地疫学専門家養成コース)について同センター長の砂川富正先生に執筆いただき、最後にメディア側から見た対策の課題を、国民の生活・経済活動の維持と国民とのリスクコミュニケーションの観点で考察されたレポート(前村 聡先生)で締めました。
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