特集 こども家庭センターの意義と現状
Editorial—今月号の特集について
山縣 然太朗
1,2
1国立成育医療研究センター成育こどもシンクタンク
2山梨大学大学院総合研究部附属出生コホート研究センター
pp.679
発行日 2025年8月15日
Published Date 2025/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870890080679
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こども家庭センターの設置と役割
母子保健法による子育て世代包括支援センターと、児童福祉法による市区町村こども家庭総合支援拠点を統合したこども家庭センターの設置が2024年4月から始まっている。
こども家庭センターは母子保健、子育て支援、児童福祉を有機的に一体化する位置付けになっており、必要な支援をその程度にかかわらず、適切な時期に提供できる点で重要である。他方で、その基盤法が児童福祉を主とする児童福祉法のため、従前の母子保健活動が全く異なるものになってしまうのではないか、という懸念がある。例えば、新たに設置されたこども家庭センターの保健師が、サポートプラン作成とその提案を行うと、「虐待のハイリスク家庭と見なされているのでは」と保護者が警戒する事態を引き起こす可能性がある。結果、住民との信頼関係で成り立つ母子保健活動の障害になりかねない。

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