特集 現代におけるメンタルヘルスの問題とその対応の課題—精神疾患の国際分類の改正を踏まえて
Editorial—今月号の特集について
高鳥毛 敏雄
1
1関西大学社会安全学部
pp.365
発行日 2024年4月15日
Published Date 2024/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210273
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現在、感染症やその他の身体疾患等による健康問題が低減し、疾病問題の中でメンタルヘルスが大きな課題となってきています。この背景には、自己で制御できる範囲を超える「モノ」や「情報」にさらされて人々が生活するようになってきていることがあります。ネットワーク化やシステム化が進行した社会は、便利で快適な質の高い社会を実現してくれていますが、このように高度に分業化された社会において働く人々にはこれまでとは異なる時間の使用や業務の遂行を強いるものとなっています。そして、人々が有する遺伝的要因には大きな変化がないにも関わらず、人々の生活歴や価値観の多様性が大きくなってきています。メンタルヘルスの現状がどうなっているのかを捉えることは難しいですが、ICD(国際疾病分類)の精神疾患分類の改正がその手掛かりを与えてくれます。これは世界の専門家がその時代の精神疾患の現状を踏まえて分類の見直しを行っているからです。
本特集では改訂されたICD-11の精神疾患分類の解説と今後のメンタルヘルスの考え方や対応の在り方について、メンタルヘルスの研究者と第一線でご活躍しておられる精神科医にご教示をいただきました。
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