特集 公衆衛生の温故知新—これからに向けて戦後80年を振り返る
Editorial—今月号の特集について
高鳥毛 敏雄
1
1関西大学社会安全学部・社会安全研究科
pp.3
発行日 2026年1月15日
Published Date 2026/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.036851870900010003
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保健所法改正による地域保健法の制定(1994年)、そして同法の施行(1997年)から約30年がたち、公衆衛生の世界には地域保健法後の世代のほうが多くなっています。同法制定から施行までの期間に、阪神淡路大震災(1995年)と腸管出血性大腸菌O157の全国流行(1996年)という大きな災害や危機があり、これが契機となり、健康危機管理体制の構築が始まりました。21世紀に入ると、国民健康づくり運動が「健康日本21」に改称され(2000年)、一方でSARS(重症急性呼吸器症候群、2002年)や新型インフルエンザ(2009年)、東日本大震災(2011年)に、直近の新型コロナウイルス感染症の流行と健康危機が連続し、公衆衛生があらためて注目される時代に至っています。戦後まもない1947年に新憲法のもと定められた保健所法時代の公衆衛生を今に伝えることができる方々が減ってきています。これからの公衆衛生を描くには歴史的な理解が不可欠です。
筆者が医学部に入学した1975年からの50年間は戦後公衆衛生の転換期であり、幸いにも多くの先人と出会い、育てていただきました。そこで医学部入学から現在までを振り返り、本特集を企画させていただきました。

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