特集 災害対策・危機管理の専門家によるCOVID-19パンデミックの検証
Editorial—今月号の特集について
高鳥毛 敏雄
1
1関西大学社会安全学部
pp.569
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209869
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2020年1月に中国武漢において発生したCOVID-19は爆発的に流行し、そのすさまじさを私たちは日々目にすることとなりました。その直後の2月1日に大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗船客に感染者がいたことが判明し、船は横浜港に停留させられました。ウイルスの性状や感染力がまだ分かっておらず、しかも治療薬やワクチンが存在していない中、想定を超える感染者の発生があり、国と神奈川県は「局地災害」として対応しています。しかし、その対応に際しては、災害に関する法制度を適用することなく、感染症法、新型インフルエンザ等対策特別措置法を適用しました。その後、感染者数の流行波は次第に大きなものとなっていきましたが、依然として特措法に基づく緊急事態宣言、まん延防止等重点措置だけで対処してきています。
ダイヤモンド・プリンセス号から2年目の2022年1月にはオミクロン株により感染者数が一気に激増しましたが、ワクチン接種の広がりと医薬品の備え、また国民の理解と対応力の向上もあり、感染者数が著しく増加したにもかかわらず、2022年5月現在、重症者、死亡者の発生率は低く、次第に落ち着きを取り戻してきています。
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