特集 シリーズ 公衆衛生と感染症—感染症に対する医薬品開発と医療の最前線
Editorial—今月号の特集について
高鳥毛 敏雄
1
1関西大学社会安全学部
pp.81
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209982
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新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の流行は、感染症の医療体制とワクチンや医薬品の重要性を認識させてくれました。2号連続企画「シリーズ 公衆衛生と感染症」の第1回目、前号は病院を中心とする医療体制に焦点を当てましたが、本号では医薬品開発と治療医学の最前線をテーマに取り上げました。
近代医学の歴史は、感染症に対するワクチンと医薬品の開発であったということができます。戦後、細菌に対する化学薬や抗生物質の登場により感染症に対処できるようになりましたが、ウイルスに対する医薬品の開発は最近のことです。近年の分子生物学、生命科学、ゲノム医学の進展によりインフルエンザやエイズ、ウイルス性肝炎の治療のために、ウイルスの細胞侵入や増殖の過程の解明が進められ、その過程を阻害・阻止する多種多様の医薬品が開発され実用化されてきていました。COVID-19に対する医薬品(ワクチンを含む)が早期に開発、実用化できたのはこの蓄積があったからといえます。
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