特集 災害時の保健・医療・福祉—連携と調整
Editorial—今月号の特集について
冨尾 淳
1
1国立保健医療科学院健康危機管理研究部
pp.613
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210081
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わが国では、過去のさまざまな自然災害の経験と反省をもとに、災害時の保健医療体制の強化が図られてきました。阪神・淡路大震災以後、急性期の外傷を中心とした救急医療を担う災害拠点病院とDMAT(災害派遣医療チーム)が全国に整備され、災害医療体制の基盤がつくられました。東日本大震災では、慢性疾患患者のケアやメンタルヘルスケア(こころのケア)が課題となり、DPAT(災害派遣精神医療チーム)をはじめ、薬剤師や管理栄養士、リハビリテーション従事者など、さまざまな職種の支援団体が活動を行うようになりました。被災自治体の公衆衛生行政機能の確保の重要性も認識され、DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)の設立につながっています。そして現在、保健・医療・福祉のニーズの多様化とともに、災害時の支援を担う組織や団体の数・種類は拡大傾向にあります。活発な支援活動が期待される一方で、熊本地震(2016年)ではチーム間の情報共有の不備が指摘されるなど、組織・団体間の連携と調整が課題とされました。災害時にどのような組織・団体が、いつ、どこで、どのような活動を担うのか、その情報はどのように把握し共有されるのか、改めて整理しておくことが求められるのではないでしょうか。
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