連載 All about 日本のワクチン・4
肺炎球菌ワクチン—成人を中心に
永井 英明
1
1国立病院機構東京病院 感染症科
pp.351-355
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210031
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1.当該疾患の発生動向
2021年10月のわが国の65歳以上の人口割合は28.9%となり1)、超高齢社会の範囲に入り、高齢者における総医療費の高騰が問題になっている。したがって、高齢者における疾患の予防は喫緊の課題である。中でも肺炎に罹患する高齢者は増加しており、2011年には肺炎が死亡原因の第3位となり(2021年は5位、最近2年間の減少はコロナ禍における感染対策の効果と考えられる)(図1)2)、肺炎死亡の95%以上は高齢者である。市中肺炎の原因菌の3分の1を肺炎球菌が占めている。この肺炎球菌に対するワクチンが使用可能であり、ワクチンの接種率を上げて肺炎球菌性肺炎の予防を目指すことは医療政策上極めて重要である。
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