映画の時間
—人生を照らす光は、きっとある。—エンパイア・オブ・ライト
桜山 豊夫
pp.257
発行日 2023年3月15日
Published Date 2023/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210013
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映画館を舞台にした映画では、テーマ音楽とともにフィリップ・ノワレの好演が思い浮かぶ『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)が記憶に残ります。わが国でも徳島県美馬郡脇町(当時)の古い映画館を舞台にした『虹をつかむ男』(1996)をはじめ、『今夜、ロマンス劇場で』(2018)など、ハートウォーミングな作品があります。今月、ご紹介する『エンパイア・オブ・ライト』も英国の地方都市の映画館を舞台にしています。
1980年の英国。海辺の町にたたずむ映画館から物語は始まります。古ぼけた映画館の内部と、そこから眺める海辺の情景。美しい映像に圧倒されます。一転、きれいな映画館と、映画館「エンパイア劇場」を開ける準備をする主人公ヒラリー(オリヴィア・コールマン)が描かれます。実はエンパイア劇場は、かつては四つのスクリーンやレストランを持つシネマコンプレックスのような映画館でしたが、今は二つのスクリーンのみで営業しています。
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