連載 Coda de Musica 心に響く音楽療法・12【最終回】
Finale—音楽療法が照らす新たな光
三道 ひかり
1,2
1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室
2日本音楽療法学会
pp.954-958
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209039
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Coda
ソナタ形式.序奏,提示部,展開部,再現部,そして結尾部という構成で繰り広げられる,楽曲形式の一つ.音楽を志すものにとって,あらゆる楽器の楽曲において出てくる定番の形であり,とてもなじみがあるものだ.序奏では,楽曲が始まるという期待感が描写される.提示部での楽曲の主題(テーマ)の出現,展開部における主題の発展性によって,楽曲の色がはっきりと見えてくる.再現部では,提示部を振り返りながら終焉への準備がされ,結尾部(Coda)へと続く.その流れは,まるで人生のように,次から次へと止まることなくつながっていく.思いがけない主題が出てきた展開部があっても,結尾部では全てが収まる.あなたの人生には,終末期までに果たしていくつの主題が出てくるのだろう.
これまで11回にわたって,米国・ニューヨークや日本における音楽療法と終末期医療の実際を描いてきた.それぞれの地に住む,さまざまな背景を持つ患者さんとの交流も紹介した.今回は,本連載の総括として,現在の日本における音楽療法の現状と,終末期に関連する国内外の動きについて紹介する.
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