1200字通信・92
「一隅を照らす」余話
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.725
発行日 2016年6月20日
Published Date 2016/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211201
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4月号の本欄に伝教大師最澄の「一隅を照らす」という言葉にまつわる話を書かせていただきましたが,その後,その由来などが気になり調べてみました.
この言葉は,今から約1200年前の818年に,最澄が天台宗門後継者の修行規定として書いた「山家学生式(さんげがくしょうしき)」の冒頭部分にあるそうです.原文は漢文で「照于一隅此則国宝」で,「一隅を照らす.これ則ち国宝なり」と読まれてきました.そして,「非力な市井の人間であっても,一隅を照らすことならできるのではないか.それで社会の役に立つなら,一生懸命(むしろ,一所懸命)やってみよう」という勇気を与えてきたといいます.私もこうした意味合いで,折に触れて口にも出し,心の支えとしてきた言葉であることはすでに書かせていただきました.
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